自筆証書遺言のデメリット

 

ここから自筆証書遺言のデメリットについてお話しします。

形式的に自筆証書遺言書の要件は満たしていると思って作ったが、方式に不備があったり曖昧な表現で遺言書として無効になってしまうことが実際には多いのです。

 

<自筆証書遺言が無効になるケース>

誤字・脱字・口座番号や登記情報の記載間違い

口座番号の記入ミス、不動産が登記情報とおりに書いていない。また「遺す」「贈る」などの表現や、相続人の氏名(漢字)間違いも意外と多いです。

 

・書き直しによる不備

遺言書の訂正は可能ですが、削除するところを指定したり二重線の引き方や訂正印などについて細かく要件が定められています。遺言書が無効になるリスクが高いので、可能であれば書き換えをするか、専門家へ相談することをお勧めします。

 

・財産の内容に抜けがある。一部の財産しか記載していない。

全財産について記載する必要がありますので、抜けている場合は相続人の間で協議する必要が出てきてしまい、せっかく遺言書を書いたのにトラブルの原因にもなってしまいます。

 

また、いざ相続が発生したときに、作成時期が古過ぎて実際の財産と遺言書の内容が違ってしまうことがあるので、一定の時期や状況が変わったタイミングでの見直しが必要になってきます。

そして保管場所の問題ですが、遺言書が発見されない(発見が遅れる)ことになれば遺言書の意味がなくなってしまい、また目に付きやすい場所に置いておくことも誰かに開封されたり、偽造、隠匿される可能性もあり保管場所には注意が必要です。

 

ここで、「自筆証書遺言の保管制度」について説明します。

2020年7月から相続法の改正により、法務局での自筆証書遺言の保管制度が開始されました。

特定の法務局に保管の申出(予約必要)をし、自筆証書遺言の形式的要件について確認をしてもらえます。

必ず本人が出頭しなければならず、一定の手数料はかかりますが、法務局の保管制度(※)を利用すれば、家庭裁判所での検認手続きが不要になり、残された家族にとって大きな負担軽減にもなります。

(※)遺言書の有効性を保証する制度ではありません。

 

ここまで記事を読んできて、なんだかややこしく感じてきたのではないでしょうか。

そうなんです。遺言書は体力のあるうちに準備しておくものだと気付いて頂けたかと思います。

上記の注意点を参考にして、ご自身の財産とご家族とのあり方などを考えながら遺言書を書いてみてはいかがでしょうか。

自筆証書遺言書を書くときの形式的な部分は、専門家の力を借りるのも良いと思います。まずは自分なりに書いてみましょう。

他にも、不動産などたくさん所有しており、遺言書は専門家に任せたいと考える方のために「公正証書遺言」についても説明します。

 

次回・・実はおすすめ「公正証書遺言」 を掲載します。

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